ただのモノローグ

しがないヘイホーが書く日記

人生の土台となった言葉

phaさんの新刊『人生の土台となる読書』を読んだ。

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文筆家のphaさんが、今まで読んできた数々の本を紹介しながら、自身の思考や価値観についていろんな方面から書いていくという内容のエッセイだ。

僕はこれまでもphaさんの本を読んでいて、そのゆるい価値観はいつも肩の力を抜いてくれるよいものだった。考え方の根っことなる部分が分かったような気がして嬉しい。

「社会の枠組みにとらわれない」「自分のダメな部分を受け入れる」といった内容以外にも、社会学や進化論、宇宙に関する知識も面白かった。「広大すぎる宇宙と比べれば人間の存在や悩みなんてゴミクズと変わらない」という考え方が本当に好きだ。

 

本の最初の方で穂村弘の『世界音痴』が取り上げられていたが、その紹介を読みながら「これが『がんばらない練習』の原型だったのかな?」と思った。

 

僕がphaさんを知ったのは、2年ほど前に、この『がんばらない練習』を手に取って読んだことがきっかけである。自己啓発本っぽいタイトルにも見えるけれど、実際の中身はphaさん自身の「できないこと」や「しんどいこと」を中心に書き綴られたエッセイだ。(元々は幻冬舎Plusで連載されていた文章を書籍化したもの。)

それを読んで、衝撃を受けたことを今でも憶えている。共感する部分があまりにも多かったからだ。人との会話が分からない、オシャレが分からない、自分の流れを止められることが死ぬほどストレスである、今のことしか考えられない、などなど…。全部書こうとするとキリがない。

当時24歳だった僕は、うまく言語化できない違和感やモヤモヤをかなりたくさん抱えていた。しかし『がんばらない練習』を読みながら、それらが少しずつ、言葉として頭の中で整理されていく感覚があった。ここまで気持ちのいい読書は初めてだった。

それから同時に買っていた『しないことリスト』を読んで、自分と近い感覚を持つ人の言葉に心が軽くなった。そこから思い立ってブログを初めてみたり、ツイッターで知らない人と交流してみようという気持ちになったのだ。

 

『人生の土台となる読書』の第1章は、『読書で「ロールモデル」を見つける』とまとめられてあるが、僕の場合、そのロールモデルがphaさんとなっていることは明らかだろう。

それは、たぶん普段からこのブログに書いている日記や文章に表れまくっている。僕の文章を読みやすいと思っていただいている人(時々そう言ってくれる方がいて嬉しいですありがとうございます)にとっては、phaさんの本も読みやすく感じると思う。

 

本を読んで面白いと感じるときは、その本の中に自分と重なり合う部分があったときだ。読書というのは、自分の中を覗き込む行為なのだ。

(『人生の土台となる読書』あとがきより引用)

この考えはすごくよく分かる。僕は本もそうだけど、音楽の歌詞に置き換えるとこれをより顕著に感じる。歌の歌詞も文学と近い要素がある、というのは割とよく言われていることだろう。

僕も音楽は歌詞を中心に聴いてしまいがちな傾向にある。なので分からない英語で歌われる洋楽は聴かないし、吹奏楽経験者のくせにクラシックにも全く関心がない。

 

これまで大なり小なりしんどかった時に、自分に寄り添ってくれたのが、好きなアーティストの歌詞であり、言葉だった。

真心ブラザーズから「自由と明るさ」、the pillowsから「孤独との向き合い方」、LOST IN TIMEから「後悔の重さ」、LAMP IN TERRENから「日常の闇と光」、ハルカトミユキから「社会への毒」、、、いろんなバンドからいろんな感情を言語化してもらいながら、僕は今も東京で生活している。音楽の原点となったスピッツからは、「単純な言葉では言い表せない美しさ」というのを教わった。中学2年の頃は今よりも純粋だったのだ。

 

本も歌も、自分のブログや文章も、全て言葉だ。世界は言葉で出来ている。

僕がphaさんの影響を受けていることは間違いないけれど、他人と同じ人生を送ることはまず不可能だ。僕は僕で、弱いながらもこれまでの土台があるし、他にも影響を受けている人やものがある。

自分の記憶や経験を基にしつつ、今後も時々変わった方面から、いいところを取り入れられたらいいなと思っている。そんな感じで、インプットとアウトプットを継続していきたい。

 

 

『人生の土台となる読書』で文中に上がった本の中で、僕も気になったものをメモしておいた。特に関心を持った本を、とりあえず17冊。本はなるべく新刊で買いたい派なのだけど、流石に全部買うとお金がなくなるな…。まずは近所の図書館に並んでないか探してみるか。

文学フリマ東京で買った本もあるし(厚めなやつがそこそこ多い)、元々読むペースも遅いので時間をかけて消化することになりそうだ。先の楽しみが増えたということで、明るく考えよう。