ただのモノローグ

しがないヘイホーが書く日記

暗闇のこどもたち(3月上旬の日記)

3月2日(土)

心療内科の日。薬を待っているあいだ、近くの喫茶店で日記の更新やスケジュールの確認をした。今は予定の無い休日がより一層貴重に感じる。

 

友人のピロウズコピーバンドのライブを観に、渋谷ラママへ。僕も出演させてもらっている定期イベント・No Beer No Life。ラママって、渋谷マークシティ側から来る時と反対側から来る時とで見つけやすさが全然違うなと思う。僕は緑の多さを目印にしているのだけど。

ライブはとても良かった。『Sleepy Head』の演奏がコピーの範疇を超えて、自分たちのバンドらしさが出ていたのでいちばん好きだ。流石たくさん演っているだけある。今日でギターの人が脱退してしまうのだけど、頑張って活動を続けてほしい。

ライブハウスに居た人たちと打ち上げに参加した。おでんを久しぶりに食べたけど美味い。途中でデスソースたこ焼きを食べて、文字通り口や胃が死んだ。

 

3月3日(日)

昨日のデスソースたこ焼きの影響で、お腹の調子がなかなか回復しなかった…。

 

Amazonプライムビデオで、映画『王様になれ』を観た。the pillowsの30周年の記念で制作された、2019年の映画。当時、トークイベント付きの上映で観た以来なので5年ぶりに視聴した。ピロウズさわおさんではなく、1人のバスターズ(ピロウズのファン)が主人公という面白い方向性だ。

物語の中盤、祐介とゆかりが喧嘩するシーンは今でもずっと印象に残っている。「仕事としてお金をもらっている以上はプロとしての責任がある(要約)」というゆかりの言葉は、嫌でも自分の心に刺さってしまう。どれだけ仕事や会社が嫌いでも、最低限のことはちゃんとやらなくてはという気持ちをギリギリ保てているのは、あのシーンを鮮明に覚えているからだと思う。もちろんそこまで至る経緯も含めて。時々目を背けたくなるほどに、人間の不完全さや不甲斐なさがよく表現されている。

 

ピロウズを聴きながら近所を散歩し、喫茶店に入った。コーヒーやスコーンサンドが美味しく、店内の雰囲気も好きなので贔屓にしている。営業が困難らしくこれまで何度も休業しているが、無くならないでほしい店だ。

 

3月8日(金)

朝から綿のように大粒の雪が降っていた。初めは驚いたけれど、外は寒いし路面はビチャビチャに濡れているし、とにかく不快だった。電車も遅れるし何もいいことがない。1年の半分くらいは寒い時期が続くので、特にこの時期はいい加減うんざりしてくる。

 

職場の上司に「バンドーさんはちょっと話しづらいところがある」とサラッと言われた。コミュニケーションが下手なところはずっと自覚がある。自分から雑談を切り出すのが苦手で、比較的大勢の中に紛れている場合はまだどうにかなるけれど、誰かとマンツーマンの状態だとどうしてもごまかしが利かないのでしんどい時がある。

無理して喋ろうとするとうっかり変なことを言ってしまいそうだし、話すことがない時はあんまり自分から口を開かない。その場がつまらないわけではなく、本当に何を話せばいいのかが分からないのだ。気まずい空気を意識しないために、わざと逃げるように頭を空っぽにしてしまう。

出張先への移動時間はほぼ無口だし、仕事中の雑談も苦手だ。話しかけられれば受け答えするけど、手を動かしている時はそれすらめんどくさいと思ってしまう。いや、実際は相手が言っていることををすぐ理解出来なかったりで、まともに返せている自信もない。中身も面白味もないすっからかんな人間だと思っている。

こういう欠陥は僕自身が痛いほど分かっているので、上司に指摘されても平然としていたけれど、あとから色々考えてしまう辺りやっぱりちゃんと落ち込んでいるのだろうな。

 

うだうだ考えながら電車を降りると、駅前で若い女性に声をかけられた。独身男性向けのブライダル調査、だとか。なんか数年前も同じように声をかけられたな。めんどくさいので以前と同じように「結婚してます」という嘘をついて逃げた。丸亀製麺で玉子あんかけうどんを食べて帰宅。

 

3月9日(土)

社員寮でリース切れの家具家電を入れ替える日。業者が来るので日中は家で待機。冷蔵庫の下に分厚い埃が溜まっていたので、新品が運ばれてくるまでに掃除した。新しい冷蔵庫、冷蔵スペースの位置が下に変わり、物の出し入れが地味につらくなった。腰に響く。

夕方、ドラムを叩きに行った。いつも帰りに寄るラーメン屋が混んでいたので、今日はスーパーで適当に惣菜を買う。帰宅して本を読もうと思ったけれど、強烈な眠気で活字が追えなかったので早めに寝ることにした。

 

3月10日(日)

朝から精神的な不安にやられてしまう。明日からの仕事がもう既に怖い。ずっと逃げたいという気持ちに駆られているのだけど、東京でライブや趣味を楽しみながら安定した生活を続けるには、今の会社にしがみつくことが現状の最適解でしかない。下手に転職すると絶対失敗しそうだしな。あとどれだけ我慢が出来るか。

 

Enfantsのワンマンライブで、渋谷まで行く。先行物販でキーホルダーを買ってから、エクセシオールカフェで時間を潰した。渋谷って人が多いしうるさいし、店がどこも混んでるからあんまり長居したくないんだよな。

ライブは17時に開演。1曲目はアコースティック調のバラード『Autopilot』で、しっとりしたスタートが想定外だった。虚しさを浮き彫りにした歌詞が大好きで穏やかに聴いていたのだけど、ライブ特有のエモーショナルな演奏で、気持ちは着実に高まっていく。

イカしたベースリフが流れて歌われた『デッドエンド』。これまた大好きな曲が聴けて序盤から大満足。四方八方で明滅する照明の演出にも痺れた。暗闇の中でもがいている不安定な心を表現しているように見えた。

 

MCで語られた、「自分の人生を納得させるために曲を書いている」という大さんの思いは、自分も共感するところがあった。僕が今こうして日記を書いているのも、去年日記本を作ったのも、中身が無いなりに自分がやってきたことを再認識して肯定したい気持ちがあったからだ。

そうして披露されたLAMP IN TERREN時代の曲『ニューワールド・ガイダンス』。この曲を作った頃から新しいバンドの活動を考えていたそうだし、これはもはやテレンではなくEnfantsの曲なのかもしれない。

 

アンコールはなく、70分程度でサクッと終わる。しかし濃密な時間だった。今のバンドの到達点であり、ひとつの通過点でもある大事なライブに立ち会えて嬉しい。今この時しか観られないライブという感じがして、貴重だったと思う。

Enfantsは僕が積極的に追っている中では数少ない同年代バンドなので、これからも応援したい。今でも精神がつらい時は縋るようにLAMP IN TERRENの曲を聴いているし、過去曲もライブでどんどん披露してほしいな。