4月18日(日)
外から石焼き芋のアナウンスが聞こえて目が覚める。どうして突然この時期に…?本当に芋売ってるんだろうか、ぐらいの感じで気にはなったけど、わざわざ窓を開けて外を確認する気力はなかった。
日高屋でミックスW餃子定食を頼み、念願(?)のバジル餃子を食べた。
口の中で咀嚼したあとに広がる風味が独特で面白い。評判なのかどうかは分からないけど、僕は好きな味だった。
ディズニー映画『シュガー・ラッシュ』およびその続編『シュガー・ラッシュ:オンライン』を観る。
両作とも、「自分の現状にどこか満足できないゲームキャラクターが、悩みの末そこから抜け出そうとする」という共通点があった。1作目は主人公ラルフの、2作目はその友人ヴァネロペの葛藤が描かれている。
1作目はゲームの悪役として生まれてきたラルフにとってのヒーロー像が、いわゆる一般的なものから自分なりの解釈に変化し、そうして辿り着いた「唯一無二のヒーロー」を目指す気持ちに心打たれた。
2作目は予想通り、ネットでの評価が賛否両論分かれていた。色々悪影響を与えたと思われる要素があるけれど、そもそも名コンビの別れとなるストーリーというものは、どうしても一定数の批判がついて回ることが避けられない。トイ・ストーリー4を先に観てから、そういうことを何となく肌で感じるようになった。
僕はラルフの気持ちがすごく分かってしまったので、この作品に対して否定的にはなれない。せっかく手にした安定を手放すことの怖さ、大切なつながりを失ってしまうことの寂しさ、色々割り切れない感情が細かく描写されていて自分も何だかつらくなった。
最後のウイルスを説得するシーンも、ラルフが内なる自分と正面から向き合い、負の感情とも決別する形に見えてよかったと思う。
最終的にヴァネロペは憧れていたインターネットの世界で生きることを決め、ラルフはこれまで通りの日常へ戻る。
しかし一見繰り返しの日々の中でも、実際は少しずついろんなものが変わっていく。そういう変化さえも楽しむことで気持ちを豊かにさせてくれるというのは、ラルフのその後を見ていると容易に想像できるだろう。以前からぼんやり頭の中に浮かんでいたようなことが、作品を通して明瞭になった感じがしてよかった。
夜、地元の友人と電話をする。最近の愚痴も結構喋ったりして、いくらか気分がよくなった。
4月19日(月)
午前中に軽く部屋の片付けをしたあと、近所のネギラーメンの店に行く。
メニューに卵かけご飯があることに気付き、一緒に注文した。鰹節とのり佃煮も乗っていておいしい。スープをかけるとさらに美味になった。
店内でCHAGE&ASKAのYAH YAH YAHが流れていて、2年前に行ったフラカンとスピッツのツーマンライブを思い出した。
それから歩いてスーパー銭湯へ行く。平日にふらっと風呂に入れることもしばらく出来なくなるので、サウナも含めてゆっくり堪能してスッキリした。
都内で緊急事態宣言が三度発令されようとしている。僕自身は社会がどうなろうと、結局自分の身は自分で守らないといけないと思っているので、緊急事態そのものに関しては割とどうでもいい。しかしどうしても五輪をやりたいがための対応なのでは、と疑ってしまう。
政治の仕組みは分からないことだらけだしあんまり言及したくはないんだけど、どうしても政府の対応には納得がいかないことばかりだ。
Twitterを見ていると、ぽつぽつと公演の中止が出て来始めているので不安になる。どうか簡単に社会に流されないでほしい。もっと個人的なことをいうと、これ以上楽しみを奪うな。
夕方、会社の人と会う。何となくそろそろ連絡が来そうな予感がしていて、案の定、先週LINEが来たのだった。
諸々の愚痴と、復帰にあたって毒にも薬にもならない励ましをもらった。
4月20日(火)
休職最後の日。まさにLAST HOLIDAY。
ひたすら何もしないつもりだったけど、天気がよすぎるので電車に乗って上野公園まで行ってきた。
牡丹園なるものが開かれていたようだけど、入場料がかかるみたいで断念。何となくお金を使いたい気分ではなかった。
代わりに不忍池をぐるっと1周歩いてみる。何気にボートの所まで来るのは初めてだった。スワンボートが2、3台ほど水上を泳いでいた。
カモの他にユリカモメや鵜もいて、平和な池、という感じだった。
それからドトールに入って本を読みつつ休憩する。
三秋縋さんの小説『三日間の幸福』を読んでいた。午前中に自宅で、午後にドトールで、帰宅してから…と少しずつ頁を進めて読んでいった。
僕が上京して初めて読んだ小説がこれなんだけど、何度読み返しても素晴らしいと思う。一番好きな小説だ。
「寿命を買い取る」というSFっぽい要素を織り交ぜながら、人間個人の弱さや脆さやどうしようもなさ、それを取り巻く世界の非情さ等、太刀打ち出来ない現実を突き付けられる感じが胸をえぐってくる。
立て続けに襲われる不幸の中で、大切な人の存在に気付き、本当の幸せを見出して満たされながら一生を終える。そういうところに、どこか憧れや美しさを感じてしまう。『三日間の幸福』は、僕にとって最も理想的な物語と言ってもいい。
本を読み終えた頃には、窓から西陽が差し込んできていた。妙な焦燥感がよぎる。仕事をしていた頃の、日曜日の夕方と同じ感覚だろうな。
なんてことを考えつつぼんやりしていたら、いきなり寮の先輩から「奢るから焼肉行こう」とLINEが来た。これは行くしかない。先輩が注文したものを適当に食べていたら満腹になった。
明日から久しぶりの出勤なので、睡眠導入剤を飲んで早めに寝ることにした。
4月21日(水)
6時に起き、朝食と身支度を済ませて会社に行く。
新しい部署は、かなりゆるめの印象だった。まぁ殆ど現場に出ないからな。自分の席に行くと、前職場でまとめた荷物を置いてくれていた。
本当に数人だが知っている人もいて、その人たちとお昼にチキン南蛮定食を食べに行った。それ以外の人たちも丁寧に振る舞ってくれるけど、この状態が長続きしないということは、経験上流石に分かっている。とりあえず適当にやっていくしかない。
午前中は荷解きとメールの消化で時間が過ぎ、午後は簡単な書類のチェックをしていると就業時間が来た。
1ヶ月ほど時短勤務となるので15時くらいに退勤になるんだけど、そのまま帰宅すると中途半端な時間になるんだよな。迂闊に昼寝も出来ないし。
今日は帰りに日比谷公園に寄って、ネモフィラの写真を撮ってきた。
一面に咲く青い花がとても綺麗だった。